「西中島を若者がチャレンジできる場所に」 関西ベンチャーを牽引するにしなかバレーの代表を取材!
関西を代表する街「梅田」と大阪の玄関口「新大阪」の間に位置し、ビジネスマンや学生が集まるエネルギッシュな街、「西中島」。近年、西中島近郊のエリアは、ベンチャー企業が生まれる街として注目を集めています。
実は、その火付け役に関西ベンチャー企業団体にしなかバレーの存在があります。にしなかバレーは西中島・中津エリアで創業したベンチャー企業が集い結成された非営利団体組織です。
今回は西中島で新卒採用サービスを展開する株式会社i-plugを起業し、にしなかバレーの代表も務める中野智哉氏にインタビューをしてきました。
学生と企業が集まる街、西中島
- 西中島を起業の地に選んだのはなぜですか?
- 株式会社i-plugは学生と企業のマッチングをしているので、起業の際には関西の学生が集まりやすい場所を探していました。なおかつ家賃が安いとなると、西中島がベストな選択だった。特に昔からゆかりのある場所ではなかったのですが、条件に一番当てはまっていたんです。
実際に西中島で仕事をしてみると、本当に便利な街だと思いました。起業して2〜3年経ったころに、「西中島はベンチャーが多い」ということを知りました。
面白いことに人は集まる
- にしなかバレーをどういう思いで立ち上げましたか?
きっかけは偶然だったんです。
知人から近くのベンチャー企業をたくさん紹介してもらったんです。紹介いただいた方と飲みにいくことがたびたびあり、少しずつベンチャーの集まりができていったのがにしなかバレーのはじまりでした。
そんな折に、たまたま弊社が日経新聞の取材を受ける機会があって「どうして西中島で創業したのですか?」と聞かれたんです。何気なく「西中島にはベンチャーがたくさんありますよ」とお伝えすると、記者の方がそこに興味を持たれ、知っているベンチャー企業をいくつか紹介することになりました。
すると、後日、「西中島にベンチャー企業が集まっている!」と記事が出たんです!
せっかくこうしたチャンスがあるなら、やってみようと。西中島と中津を中心に盛り上げていこうと思いました。どうせやるなら、楽しくやりたい。面白いことに人が集まってくる、そんな思いでいろいろなイベントをスタートさせました。
- そもそも、なぜ西中島にベンチャー企業が集まっているのでしょうか?
実は、西中島には株式会社リョーマという、伝説のベンチャーがあったんです。モバイルオンラインゲームで人気のKLab株式会社を創業した真田哲弥さんが在学中に作った学生ベンチャーで、30年ほど前に西中島のマンションの一室でやっていました。
当時のメンバーは、株式会社北の達人コーポレーションの代表取締役社長・木下勝寿さんや、Indeed Japan株式会社の代表取締役・高橋信太郎さんをはじめ、今もなおビジネスの最前線で活躍する方ばかり。とんでもない会社だったんです。
そんな錚々たるメンバーの方々とも、にしなかバレーをきっかけに縁ができた。もっとこの活動を盛り上げていこうと思いました。西中島のベンチャー文化は、リョーマの創業から続いているんです。
- にしなかバレーの具体的な活動を教えてください
中心のメンバーが僕と、株式会社レシードの創業者である大江栄年さん、株式会社クロノスの取締役社長を務めた山野寛さんの3人と、SSMotherホールディングス株式会社の上野公嗣さん。定期的な活動をしているわけではありません。以前は半年に一度、100人くらい集めてイベントをやっていました。ただ、主要なメンバーがそれぞれの事業で忙しく、しばらく動きが止まっていました。
もうひとつの活動としては、シェアオフィスを持っています。『西中藩』といってクラウドファンディングで立ち上げたオフィスです。実はその後、ビルのオーナーから「ベンチャーを応援したい」と言っていただき、無料で貸し出すことができるようになりました。今は6名ほどが利用しています。
この西中藩のメンバーを中心に、これからにしなかバレーの活動を再開させていく予定です。
ベンチャー企業は情報が少ないんです。経営には、経営的な知識だけでなく銀行や記者との繋がりも重要です。そういった情報を共有するネットワークを作っていくことで、にしなかバレーの価値が生まれていく。
起業家は負けず嫌いなんですよ。本気で成長しようと思っている人を集めると、化学反応が起きる。負けたくないから。そうやってお互いに刺激しあえるネットワークを作るという意味もあります。最近は若手の子も増えてきたので、20代の若者をしっかりと応援していこうと思っています。
「チャレンジするぞ!」と思える街に
- にしなかバレーの今後の予定を聞かせていただけますか?
にしなかバレーはたくさんの方に注目をいただいています。これから新大阪駅周辺はリニアの誘致をはじめとした再開発の期待がかかっている。もっと街づくりに力が入る可能性がありますよ。
ベンチャー企業が集まると、情報が集まる。一社一社の人数は少ないですが、お互い刺激しあって、会社を成長させていく。そういったコミュニティーとして活動を広げていきたいと思っています。
- 最後に、これから西中島の街や、街の若者に期待することはありますか?
やはり西中島は最高の立地なので、スタートアップの集積地になるのが一番いいと思っています。僕はもう41歳になりますが、40代スタートより20代で活動をはじめた方がいいですよね。スタートアップを応援できる、そういう街にしていきたいと思っています。西中島にはそのポテンシャルがある!
街づくりは土地開発だけではないので、その根本にある文化やコミュニティーは僕たちが作っていかないと。最終的には「チャレンジしよう!やってやるぞ!」そう思えるような街になっていくのが一番いいですね。徐々に理想へ近づけていけたら、そう考えています。
「面白いことに人が集まってくる」という言葉の通り、終始楽しそうに語ってくださった中野代表。切磋琢磨して成長しながら、楽しむ心も忘れない。立地の良さだけでなく、こういった温かなコミュニティーがあることも西中島に起業家が集まる理由になっていくに違いありません。
さらに盛り上がっていくにしなかバレーの活動にこれからも注目です!
<関連リンク>
株式会社i-plug
にしなかバレー
株式会社レシード
株式会社クロノス
SSMotherホールディングス株式会社
<参照元URL>
日本経済新聞「ベンチャー集う街 大阪・西中島 組織つくりノウハウ共有(ひと最前線)」
ベンチャー型家業承継でウミガメ実践記|加藤順彦MSC
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